○奥州金ケ崎行政事務組合再燃火災防止対策規程

平成20年4月1日

消防本部訓令第18号

(趣旨)

第1条 この訓令は、再燃火災の防止に関し必要な事項を定めるものとする。

(定義)

第2条 この訓令において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 火勢鎮圧 火勢が消防隊制ぎょ下に入り、拡大の危険がなくなったと現場最高指揮者が認定したときの状態をいう。

(2) 残火処理 火勢鎮圧後、残り火を点検処理し、鎮火に至るまでをいう。

(3) 鎮火 現場最高指揮者が再燃のおそれがないと認定したときの状態をいう。

(4) 現場最高指揮者 火災現場において、消防隊を統括指揮する消防機関の最高指揮者をいう。

(5) 現場保全区域 火災原因調査等の必要上保全すべき区域をいう。

(6) 消防警戒区域 消防法(昭和23年法律第186号)第28条で定める区域をいう。

(消火活動等の推移区分)

第3条 消防機関の消火活動等の推移区分は、別表第1のとおりとする。

(指揮体制及び要領)

第4条 残火処理活動を行うための指揮体制は、現場最高指揮者がこれに当たり、火災の規模、状況等により決定するものとし、指揮要領は次の各号に定めるところによる。

(1) 担当区域等の指定 現場最高指揮者は、残火処理活動をもれなく、かつ、効率的に行うために消防隊等ごとに残火処理活動の担当区域を指定するものとする。この場合、木造建築物にあっては焼けどまり付近、耐火建築物にあっては直上階等に対する延焼危険箇所を重点区域とし、収容物のみが焼きする等、消防隊到着時に、既に消火活動の必要のない場合においても、残火処理活動を行う消防隊等を指定するものとする。

(2) 破壊活動上の指示 現場最高指揮者は、残火処理活動のために消防対象物を破壊する場合、過剰破壊とならないように破壊箇所、破壊範囲、破壊要領等を指示するものとする。

(3) 注水活動上の指示 現場最高指揮者は、残火処理活動のため注水する場合、消防対象物の構造、用途、燃焼物等により残火処理活動に適した注水種別を選定し、その要領を指示するとともに、水損防止用資器材の活用を指示するものとする。

(4) 火災原因調査の証拠保全等 現場最高指揮者は、残火処理活動のため消防対象物を破壊する場合及び焼残物の搬出等を行う場合は、火災原因の調査上必要な現場の保存又は証拠の保全について指示するものとする。この場合において、火災の規模状況等から必要に応じ、残火処理後の焼け止まりの状況について写真撮影を行っておくものとする。

(5) 安全管理の徹底 現場最高指揮者は、残火処理において、特に壁体の倒壊、かわら等の落下、柱等の転倒及び踏み抜き等による傷害を防止するため、消防隊等の安全管理に十分配慮するものとする。

(6) 残火処理チェックカードによる確認 現場最高指揮者は、消防隊等に担当区域ごとの残火処理チェックカード(様式第1号)(以下「チェックカード」という。)を提出させ、確認のうえ残火処理活動について必要な指示を行うものとする。

(7) 消防隊引上げ後の警戒 現場最高指揮者は、消防隊等引上げ時は、当該消防対象物の関係者等に対し、文書又は口頭により消防隊等引上げ後の警戒等について協力を求めるものとする。さらに、火災の規模、状況等により消防隊等引上げ後も、必要に応じ消防隊等を指定し巡回を行うものとする。

(残火処理大綱)

第5条 残火処理大綱は、別表第2の定めるところによる。

(残火処理活動上の留意事項)

第6条 残火処理の担当区域を指定された消防隊等は、配備されている資機材を効率的に活用するとともに、当該消防対象物の関係者の積極的な協力を得るものとする。

2 残火処理活動は、残火処理大綱に基づきチェックカードを活用して未処理部分をなくすものとする。

3 破壊活動は、次に掲げる事項に留意し行うものとする。

(1) 破壊活動は、原則として現場最高指揮者の命令により行うものとする。

(2) 破壊箇所は、作業が容易で、かつ、最大の効果が発揮できる部分とする。

(3) 破壊範囲は、必要最小限度に止めるものとする。

(4) 破壊する場合は、必要に応じて関係者の承諾を得るものとする。ただし、関係者の不在等により承諾等が得られない未確認部分については、特に警戒をするものとする。

4 注水活動は、次に掲げる事項に留意し行うものとする。

(1) 注水活動は、残火処理の消防対象物に適応した注水方法により、効率的な注水を行うものとする。

(2) 可燃物が堆積している場所は、筒先を差し込むか、又は掘り起して注水を行うものとする。

(3) 必要に応じ水損防止用資機材を活用し、水損防止に努めるものとする。

5 可燃物又は焼残物の搬出は、次に掲げる事項に留意し行うものとする。

(1) 水切れとともに再燃のおそれがある物品(布団、マット、繊維類、紙、木材、かや、わら等)は、必要に応じて屋外の安全な場所へ搬出し、残火処理活動を行うものとする。

(2) 倉庫、木材置場等大量可燃物の集積場所における可燃物又は焼残物の搬出には、必要に応じ関係者の協力を求めるものとする。

6 指定された担当区域の残火処理活動が完了した時点で、チェックカードを現場最高指揮者に提出し報告するものとする。

7 消防隊到着時において、消火活動が必要ないと思われる場合にあっても、チェックカードを活用して未処理部分のないことを確認のうえ、現場最高指揮者にこれを提出し報告するものとする。

(鎮火の決定)

第7条 鎮火の決定は、次に定めるところによる。

(1) 鎮火の決定者は、現場最高指揮者とする。

(2) 現場最高指揮者は、各担当区域から提出されたチェックカードにもれがないことを点検し、必要に応じ現場を確認した後、鎮火を決定するものとする。

(監視、警戒等の措置)

第8条 現場最高指揮者は、消防警戒区域を設定したときは、消防職員又は消防団員を監視警戒に当たらせるものとする。

2 現場最高指揮者は、現場を引き上げる際は、関係者等に現場の監視、現場保全区域の保全等について協力を求めるものとする。

(1) 協力を求める方法は、原則として協力依頼書(様式第2号)を関係者等に交付するものとする。ただし、口頭による場合は、協力依頼書の内容に準ずるものとする。

(2) 関係者等の範囲は、原則として次のとおりとする。

 火元建物等の所有者、管理者又は占有者

 類焼した建物等の所有者、管理者又は占有者

 強い放射熱を受けたと予想される建物等の所有者、管理者又は占有者

 前各号に掲げる関係者にかかわる従業員、親せき等

 その他現場最高指揮者が必要と認めた者

(3) 現場最高指揮者は、必要と認める関係者等に、次の要領で協力依頼書を交付する。

 交付に際しては、特に危険と思われる場所等を口頭で具体的に説明するものとする。

 控欄には交付した日時等所要の事項を記載し、保存するものとする。

 協力依頼書を関係者等不在のため交付できない場合には、近隣住民、消防団分団長等に対し交付し、事故防止の徹底を期さなければならない。

この訓令は、平成20年4月1日から施行する。

別表第1(第3条関係)

消防機関の消火活動等の推移区分

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別表第2(第5条関係)

残火処理大綱

構造別

特に残り火が生じやすい場所等

点検要領

搬出・破壊要領

木造

屋根、小屋裏、天井裏、廊下等

点検口(押入れの天井部分等)等から内部を視認する。

① かや、わらぶき屋根及び小屋裏に収容してあるわら等は、屋外の安全な場所に搬出する等の必要な処置を講ずる。

② 小屋裏、天井裏及び床下の点検には、天井、床等を一部破壊する。

家具類(タンス等)、戸棚の裏側等

移動させて火気及び煙の有無を確かめさらに内部の収容物を視認する。

① 収容物のうち、衣類、書籍類で焼きしているものは、屋外の安全な場所に搬出する等の必要な処置を講ずる。

② 家具類、戸棚等を移動し、必要に応じ破壊器具等により局部破壊する。

押入れ、戸袋等

① 収容物を引き出し、内部を視認して、火気及び煙の有無を確かめる。

② 小屋裏への燃え抜け状況を確認する。

① 収容物等で焼きしているものは、屋外の安全な場所に搬出する等の必要な措置を講ずる。

② 小屋裏の点検は、天井、壁等を一部破壊する。

厨房等の火気使用施設周囲の鉄板張り内装裏面及び煙突の貫通部分等

変色部分等の表面を素手で触れて温度を確かめる。

変色部分等の表面温度の高い部分及び煙突の貫通部分を破壊器具等により局部破壊する。

かわら下地、畳の合せ目等

① 焼け止まり箇所等を視認する。

② 畳で焼きの深いものは、床板まで燃え抜けているか確認する。

① 畳で焼きしているものは、屋外の安全な場所に搬出する等の必要な処置を講ずる。

② 屋根の点検は、かわら及びその下地等を一部破壊する。

柱、梁、合掌等のほぞ部分等

① 視認及び素面を素手で触れて温度を確認する。

② 通し柱等に焼きがある場合は、小屋裏、天井裏まで視認する。

必要に応じ、けん引ロープ等により柱、梁等を転倒、落下等させる。

焼き堆積物等

堆積物内部の火気を確認する。

① 可能な限りとび口等で掘起し、又は掘崩しを行う。

② 農薬、肥料、その他化学製品等で、注水、加熱等により発熱の危険性あるものは、できるかぎり屋外の安全な場所に搬出する。

布団、マット、繊維類、紙、木材、木くず類、わら類等

深部に残った火気を素手で触れるなどして確認する。

消火器等で消火したもの又は変色しているものなど、できるかぎり屋外の安全な場所に搬出する。

強い放射熱を受けた部分、風下消防対象物の飛火危険箇所等

変色又は強い放射熱を受けたと予想される部分を素手で触れて温度を確かめる。

① 変色又は受熱温度等から必要に応じ破壊器具等で一部を破壊する。

② 布団、繊維類等深部に火気が残りやすいものについては、できるかぎり屋外の安全な場所に搬出する。

防火造

モルタル壁等の二重壁内等

変色又は強い放射熱を受けたと予想される部分を素手で触れて温度を確かめる。

必要に応じ、破壊器具等により二重壁の一部を破壊する。

その他木造及び耐火造に準ずる

耐火造(簡易耐火造)

ダクト、パイプスペース等のたて穴部分等

① 点検口等から内部を視認する。

② 直上階等へのたて穴部分等で埋戻しの有無を点検する。

③ 可燃物と接している部分を点検する。

① 押入等の収容物を引き出し、たて穴等の有無を確認する。

② ダクト等の一部を破壊する。

ダクト、パイプ等の壁体並びに床貫通部分の仕舞材及び埋戻し箇所等

① 点検口等から視認する。

② 変色部分等の表面を素手で触れ温度を確かめる。

ダクト、天井、側壁等の一部を破壊器具等により破壊する。

その他木造及び防火造に準ずる

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奥州金ケ崎行政事務組合再燃火災防止対策規程

平成20年4月1日 消防本部訓令第18号

(平成20年4月1日施行)